2011年10月10日

僕がWindowsを好きな理由と茂木健一郎の薄ペラさ

windowspc

例の脳科学者にとってWindowsはひたすらイライラさせられる大っ嫌いなOSのようですが、昨日も書いたように、僕はWindows派です。これまで自分で7台のパソコンを買いましたが、うち6台はWindows機です。

基礎知識として。よくMacとWindowsどっちが好き?という比較がされますが、これは実はおかしくて、正確に言うならMacOSとWindowsどっちが好き?という比較でなければなりません。Macというのは「MacOSがハード(本体)に搭載された商品」を指す言葉であるのに対して、WindowsはまんまOSの名称だからです。

※OSというのは、オペレーティングシステムの略で、さまざまなソフトを動かす元になるプログラムのことです。例えばPS3を買った場合、起動するとまずPlaystation3のロゴが表示されますが、あれは「PS3本体に、Playstation3OSが搭載されている」状態です。PlaystationOSにさまざまなゲームソフトをロードさせる事で、ゲームで遊べるのがPS3ですが、Windows機の場合はWindowsに例えばExcelをインストールする事で、表計算が出来るようになるわけです。Windows機はSONYやDELLが本体を組み立てて、そこにMicrosoft社のWindowsOSを搭載しているパソコンをまとめて、WindowsPCと言います。Macは、OSも本体もAppleがコントロールしています。

これはiPhoneとAndroidの比較でも同じで、僕も昨日「iPhoneよりandroid」とか書いてたので、人のことは全然言えないんですけどね。まぁ意味は通るので問題は無いですが、こと優劣を比較する場合において、「MacとWindows」という比較は、土俵がそもそも違うという前提があります。

AppleとMicrosoftは、コンピューターの歴史においては、コンピューターが一般家庭に普及する段階、つまりコンピューターがパーソナルコンピューターへと変化する段階で躍進した企業です。その段階で登場したSteve JobsとBill Gatesは、異なる選択をしました。ざっくり書くと、自らのビジョンを達成するために全てをコントロールしようとしたSteve Jobsは、ハードも自らコントロールする事を選び、Bill Gatesはすでに普及していたものの使い勝手の良くなかったコンピューターに、使いやすいOSを提供する事を選んだのです。

Appleの選択は、初期においてはハードと一体型である事が製造コストに直結し、シェアを獲得し切れませんでした。Microsoftの選択は、初期においては成功を収めますが、やがてハードをコントロールできないために汎用的なOSである事を求められ、イノベーションを起こし辛くなります。この選択はどっちが正しいというものではなく、お互いにお互いを必要とした関係です。Windowsがなければ、パソコンは今ほどのスケールを持たず、価格ももっと高価だったでしょう。そしてMacが無ければ、パソコンは今より格段につまらなかったでしょう。

僕がMacよりWindowsPCの方が好きなのは、Windowsのほうが、パソコンのハードルを下げる事に貢献しているからです。95年、当時高校生だった僕は、テレビでWindows95の発売に列を作る大人たちのニュースを見ていました。OS=ソフトウェアは、コピーのコストが極めて安価なため、量産にしたがってコストは限りなくゼロに近づきます。「なのに値段をつけるWindowsウザい」というLinux陣営の声にも大賛成しつつ、とはいえMicrosoftは大企業で無いとできない事をやっているし、結果パソコン普及の最大の功労者である事は間違いないと思います。

その点で言うとMacは、自由であるべきプログラムに、ハードという鎖をつけているように感じられます。それはJobsのビジョンとしてはもちろん美しく、だからこそ魅力的なデバイスを生み続ける事が出来たのは間違いないのですが、限りなく自由を目指すプログラムの理想からは、最も遠いところにあるようにも感じられるのです。活版印刷が知識を大衆のものとしたように、ハードの制約から解き放たれたWindowsは、僕にコンピューターの楽しさを届けてくれました。Appleが頂を引き上げ、Microsoftが裾野を広げる関係から、コンピューター、インターネット関連企業の隆盛が触発され、インターネットがスピードとスケールを獲得し、現在のコンピューターカルチャーが出来ているのです。

コンピューターカルチャーには、他のあらゆるカルチャーと同じように、歴史があります。そしてその歴史の中で、MacとWin、AppleとMicrosoft、Steve JobsとBill Gatesは、常に好敵手であり続けました。コンピューターを個人の手にという理想は、その経路は違ったにせよ、両者が、そしてコンピューターカルチャーの担い手たちが、共通して持つビジョンでした。Microsoftは、1997年にJobsが復帰したAppleに150億円の出資をし、その翌年、AppleはiMacを発売します。もちろん、Mac版Officeの販売という計算はあったでしょう。しかし、僕はそこに、同じ理想を掲げたライバルへのエールを感じます。コンピューターが好きな人なら、きっと似た感覚を持っていると思います。

ということなので、チンゲ脳科学者がしたり顔で、しかもMicrosoftの元副社長の前で語った「コンピューティングはアルゴリズムの優劣ではなくエクスペリエンスだから脳科学的にはMacサイコーでWindowsなんか大嫌い!」って言葉は、そういった歴史や理想を馬鹿にしたものだと思います。(って突然なんだと思うかもしれませんが。ニコニコでのJobs追悼番組で、モジャ頭がそんな事言って、Microsoft元副社長の西さんがマジギレするということがあったのです。)大体あのむ脳科学者にアルゴリズムの優劣なんて判断できるんだろうか。ひょっとしたら横文字使ってそれっぽく見せてるだけで、「庶民にとっては楽しければOK」って事を言いたいだけなんじゃなかろうかってか絶対そうだろ。しかも「その事をApple以外は分かってない」だと?? もし本当に分かっていなかったらパソコンは今でも大学の研究室の中なんだよクソッタレ!

そんな薄ぺらい言葉を、僕の100倍はコンピューターが好きでその世界で生きてきた西さんが、かつてのライバル、パソコンカルチャーの大偉人の追悼番組でわざわざ聞かされる事になったのは、ほんとかわいそうだと思います。西さんって多分なんかめんどくさそうなおじさんなのかなと感じはしましたが、今回の件についてはほんと同情します。静かに悼みたかっただろうに。だって死んだのはSteve Jobsなんだもん。本当に偉人だったんだよ。

Livedoorニュース
元マイクロソフト副社長の西和彦氏、ジョブズは「人と対等な関係は得意じゃなかった」 

GIZMODO
ビル・ゲイツ氏追悼コメントを発表

WindowsとMacの歴史

ビルゲイツにお金出してもらった時の、TIMEの表紙。
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sarustar at 01:43│Comments(1)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote 思ったこと 




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この記事へのコメント

1. Posted by ダメージ774   2015年10月20日 13:01
macとmacosの違いとかクッソどうでもいいくらい些細なことですけど、
Windows 使ってる間に理想とか歴史とか一切合切感じたことはありません。
それよりも実際使っててなぜ嫌いになっていくのか、使用感の問題を追求すべき場面ではないかと思うのです。

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